経済 リカード
坐禅 少し

阿部謹也『自分の中に歴史を読む』を途中まで。誰かを理解するということは自分と共通する基本的なものを発見することだと筆者はいう。時間についての考察も面白い。歴史学の方法における過去と未来の一切を含んだ現在という観方は、仏教的な認識ともつながるように思える。

カミュのL'ETRANGERを適当にめくる。これを辞書や邦訳を参照しながら、自力で読めるようになることが当面の目標。文法の総復習と動詞活用・単語暗記の3つを中心に学習をつづけていく。

経済史を読み散らかしているうちに、経済思想に少ししずつ親しみを持てるようになってきた。現在の経済情勢を自分なりに判断したいという欲望がより強まる。

ラジオ深夜便小椋佳が疎外や自分さがしという言葉を使って、現代を語っている。組織に染められることによって個は個から離れていく。これを疎外といったが高度経済成長によって物質的に富んだ人々は組織に甘んじて疎外を問題にしなくなった。しかし、大量定年を迎えた昨今、組織から離れた人々は個を問題とせざるを得ない。これが自分さがしという言葉が流行っているひとつの側面。

組織の価値構造と個の価値構造は対立する。これは吉本隆明のいう〈共同幻想〉と〈自己幻想〉の構造に当てはまる。しかし、現代は、この対立じたいは問題にされなくなっている。境界がなきなっているのかも知れない。定年退職後の人々は、組織の〈共同幻想〉を失ったのち〈自己幻想〉を保つことが要請されているという。

要は、生き甲斐をどのように見いだすかという問題だろう。